エンジニアリング業界は、すべての人に平等な機会を提供し、働きやすい職場環境を実現しているのでしょうか。女性が技術や設計の分野で実務に就くことは奨励されているのでしょうか。また、管理職においても同様の機会が提供されているのでしょうか。プレス加工業界は慣習的に「男性の職場」とされてきました。FormingWorld.comのコミュニティに新たな視点をもたらすべく、Neklar社のリディア・カサスの見解をご紹介します。
リディア・カサスが語るプレス加工業界における女性の立ち位置
Neklar社のリディア・カサス
エンジニアリング業界で働く女性として、私の歩んできた道のりは挑戦と成功に彩られてきました。これは私自身のキャリアを象徴するものであるだけでなく、男性優位の職場環境で働く女性を取り巻く環境の変化もはっきりと見て取ることができます。
周囲の理解を得る方法や固定観念への対処法、そしてNeklar社のような先進的な企業での勤務に至るまで、私の職務経験からは、これまでの進歩と、今なお残る一部の障壁の両方を実感しています。
初期の課題
23歳で社会人となった当初から、エンジニアリング業界で女性が働くことに、ある種の違和感を抱いていました。 数多くの機会に恵まれていたものの、折々の場面にて、私の意見が軽視されていると感じることがありました。また、仕事以外の面においても、初期の頃には暗黙のドレスコードがあり、この問題を真摯に受け止めてもらうには、周囲の認識を改める必要があると感じていました。
しかしキャリアを積み上げていく中で、女性の上司に恵まれたことが、私の仕事に対する自信を育む上で極めて重要でした。彼女からは的確な導きやさまざまな気づきを得ることができ、さらに誰もが働きやすい環境を構築してゆく上で、代表者や指導者の存在がいかに重要であるかを学びました。
プレス加工業界で女性が昇進を続けることは、保守的な年配の同僚たちとの戦いでもありました。自分の実力を何度も証明しなければならず、これは常に私にとって大きなテーマであり続けています。障壁に阻まれながらも、徐々にその壁を乗り越える方法を身につけ、私は常に努力を怠りませんでした。
男女格差から感じた進歩… そして取り組むべき課題
男女間の格差是正における近年の著しい進歩は否定できません。たとえば、ヨーロッパにおける女性科学者およびエンジニアの割合は、2009年の32.4%から2019年には40.9%に増加しています。過去10年間の世代交代がジェンダー格差の縮小に貢献しており、これは大きなプラス要因となっています。
しかしエンジニアリング業界が真の男女平等を実現するには、まだ長い道のりがあるということは暗黙の了解となっています。世界的に見ると、理工学部の卒業生に占める女性の割合はわずか28%です。さらに英国王立工学アカデミーの調査では、エンジリング業界における男女間の賃金格差は11%に上ることが示されています。一方、米国では女性の機械系エンジニアの平均給与は、男性エンジニアの95%となっています
次世代の女性エンジニアを育成する
私が直面した障壁は、性別に基づく固定観念だけでなく、女性がまだ少数派である業界で、女性が指導力を発揮することの難しさもありました。このような障壁は、エンジニアリング業界に限らず、概ねどの業界でも見られるものであると私は強く信じています。
これこそが、私が女性に技術職への就職を推奨する理由なのです。技術職に就く若い女性にとって、自己主張と自己肯定感は、職場環境をうまく乗り切るために不可欠です。 特に近年では管理職への登用において性別よりも資格が重視される傾向が強まっているため、自分の能力に対する自信が何よりも重要だと感じています。
女性エンジニアを目指す方々には、性別に基づく固定観念にとらわれることなく、しっかりとした履歴書を作成すること、そして強い自己肯定感を育むことが重要であるとお伝えしたいです。職場で性別による偏見に遭遇することが避けられないとしても、それに左右されてはいけません。その代わりに仕事を通じて自分の実力を示し、着実に実績を積み重ねることが大切です。
そして私の経験から言えることは、男性でも女性でも構いませんので、信頼できる先輩を見つけることです。優れた指導者に見守られることで、自身の視野が広がるだけでなく、困難に立ち向かうための導きや助言を得ることができるはずです。
エンジニアリング業界は常に変更し続けていることを忘れないでください。最新の技術や市場の動向に常に敏感であることが、仕事で優位に立つための鍵となるでしょう。
賢明な女性にとってエンジニアリングが賢い選択である理由
エンジニアリング業界の魅力は、キャリア選択の幅が広いことです。労働者不足でどの業界も需要が高まっていた時期に、私はこのエンジニアリング業界に就職することを選択しました。この仕事は知的好奇心が大いに刺激され、また女性がイノベーションスキルを発揮し、技術の進歩に貢献できる多くの機会にあふれています。
金属プレス加工やその他の分野ではキャリアアップや自己成長の機会が豊富にあり、また研修や教育を継続しながら管理職を目指す道も開かれています。そして多くの職場では多様な価値観が尊重されているため、柔軟な働き方を選択することができ、また協調的な文化も推進されています。
そしてもはや性別のみが採用の判断材料にされることもなくなりました。これは大きな進歩です。女性がこうした変化を前向きに捉えることで、女性の活躍に限界はなくなってゆくことでしょう。
パンデミック後の時代への適応
コロナ禍を機にエンジニアリング業界全般の考え方は大きく変わりました。仕事と家庭の両立が注目されるようになり、在宅勤務も定着しています。週に数日自宅から勤務することで、私は母親として娘と過ごす時間を確保することができるようになり、これまで仕事を優先しがちだったライフスタイルを見直すきっかけともなりました。
総じて言えるのは、近年は家族を優先する社会へと変化をしていることです。仕事と子育ての両立は、多くの社員にとっての最優先事項です。これこそが、社員を尊重し持続可能性を重視するNeklar社のような企業が、男女平等において時代を先取りしている理由です。
Neklar社:プレス加工業界の先駆的企業
私にとってのNeklar社は常に男女平等における先駆的企業であり続けています。同社では昇進や採用の判断において、性別は一切考慮されません。
持続可能性に価値を見出すNeklar社では、同様の指向を有する企業と協力しながら環境問題に積極的に取り組み、これらの原則の維持に尽力しています。
多方面においてリーダーシップが必要とされる重要なポジションを女性が占めているNeklar社のように、近年では多くの企業にて包括的な職場環境に対する意識が高まっています。もちろんエンジニアリング業界全体でもこのトレンドは顕著です。Neklar社では女性が活躍できる場を創出し、女性ならではの視点を積極的に取り入れることで、さらなる変革や成功を推進しています。
将来への展望:変化を受容し、進歩を遂げる
前述の通り、エンジニアリングは常に変化し続ける流動的な分野であるため、ことさら多様化に敏感でなければなりません。エンジニアとして私が近年注目しているのは、電気自動車(EV)をはじめとする車両の電動化であり、これは私が率いる部署の短期~中期的な課題となることでしょう。
しかし、エンジニアリングには従来の役割を超えた多くの機会があります。品質保証、購買、研究開発などでは、その分野に精通した熟練のエンジニアが常に必要とされ、向上心のある優秀な人材に対する需要は衰えることがありません。