韓国GIOTECH社におけるデジタルトランスフォーメーション – フィージビリティに関するケーススタディ

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1991年に設立されたGOITECH社は自動車用プレス金型の製造を専門としています。世界的な業界リーダーとなるべく、最高水準の金型を生産するための研究開発に取り組んでいます。GOITECH社では納期短縮とコスト削減のため、初期品質レベルを90%以上に向上させることを目標としています。これを実現するため、AutoFormを用いたシミュレーションと見込み補正(フルサイクルシミュレーション)をすべての部品に適用することで、品質確認の回数と生産工数を最小限に抑えることを目指しています。

従来、GOITECH社のワークフローでは、CATIAを用いて工程のモデリングを行いますが、お客様から部品データを受け取った後の工程計画は担当者の専門性に依存していました。つまり工程計画はその担当者の経験に応じて策定されます。CATIAで生成したデータをもとにAutoFormでシミュレーションを実行するには、データの変換・適用作業を行う必要があり、それに時間を要していました。このワークフローを改善するため、GOITECH社では経験則をもとに工程計画に優先順位をつけ、モデリングに費やす時間、部品変更のアップデートを行う時間、データ交換や管理に要する時間の削減を目指しました。既存のワークフローについては、図1をご参照ください。

図1 既存のワークフロー

韓国オートフォーム社では、GOITECH社の既存のプロセスを改善すべく、AutoForm-DieDesignerを用いた最適なエンジニアリングプロセスの導入を提案しました。全体像について話し合いを行った上でプロジェクトの日程と内容を確定させ、図2に示す通り、GOITECH社のプロジェクト参加者向けの特別な研修プログラムを組みました。

図2 プロジェクト計画案

この4週間のAutoForm-DieDesingerプロジェクトで3日間の集中トレーニングに続いて3週間の実践的応用トレーニングが行われ、GOITECH社から5名のユーザーが参加しました。トレーニングで用いる部品には、既に実施済みのドアアウターのプロジェクトが選定されました。このプロジェクトでは計画手法とモデリング情報がすでに整備されていましたが、このトレーニングに特化して、AutoFormで再現しました。その様子を図3に示します。

図3 以前の部品の工程検証

研修終了後3週間の内にGOITECH社のすべての技術者は新たに取得したスキルをスイングゲートインナーとベースルーフに適用しました。推奨手法であったAutoForm-DieDesignerを用いて工程計画を策定するとともに、金型サーフェス全体のモデリングも行いました。

「自主学習の一環であったスイングゲートインナー部品において、新たな工程ではCADモデリング時間が最大55%(5時間から2時間へ)短縮され、不要なデータ交換時間も最小限に抑えられました。AutoFormの置換機能を用いることで部品を簡単に修正でき、また修正機能による迅速な調整が可能となった点は大変喜ばしいことです」と工程計画の担当者は述べています。さらに次のように付け加えました。「フォームチェックを活用した成形性評価結果をもとに最適な計画手法を検証できる点を非常に高く評価しています」

6月9日、韓国オートフォーム社のソウル事務所にてレビュー会議を開催しました。またGOITECH社のプロジェクトの成果を効率的に発信するため、対談を実施しました。この対談はオートフォーム社のYouTubeチャンネルにて公開される予定です。プロジェクトに直接携わったGOITECH社の担当者は次のように述べています。「自主研究対象であったスイングゲートインナー部品では、新たな工程を用いることでCADモデリング時間が最大55%(5時間から2時間へ)短縮され、不要なデータ交換時間も最小限に抑えられました。AutoFormの置換機能で部品修正を容易に実施でき、修正機能による迅速な調整が可能となった点は大変喜ばしいことです。「工程計画の担当者は次のように述べています。「成形性の評価ツールであるFormcheckを通じて、成形性結果をもとに最適な計画手法が評価できることを知り、非常に参考になりました」(詳細は図4をご参照ください)

図4 CATIAとDieDesignerモデリング時間の比較(機密情報につき詳細は非公開)

GOITECH社ではコスト削減、モデリング、部品変更の対応時間を短縮できたため、DieDesignerを用いてプレス成形工程全体のフィージビリティについてもシミュレーションを実施する予定です。これにより図5に示すように、改善された見込み補正の方案の評価ならびによりロバストなプレス成形工程の検証および見込み補正の手法を実現することが可能となります。

図5 GOITECH社の今後のプロセス

図6 プロジェクトを成功に導いたレビュー会議、韓国オートフォーム社ソウルオフィスにて

GOITECH YouTube  : https://www.youtube.com/@goitech_official
With GOITECH – Jeongkwan Lee, Jeongok Kim, Seeun Kim, Jinsoo Jang, Hyunsoo Kang, Seongbae Park