GMTCK金型・プレス部門が掲げる「期待を超える大胆な改革」のスローガンに沿って、製造技術ダイプロセスエンジニアリング部署では部署や組織の大胆な改革に着手し、新たな技術や環境を推進しています。
GMTCK(ゼネラルモーターズテクニカルセンターコリア)の製造技術ダイプロセスエンジニアリング部署は、期待を超えるエンジニアリングソリューションを提供し、その実績を出すことで、同僚や顧客を尊重し、信頼と尊敬を集める部署へと成長しています。さらに顧客のニーズに応え、デジタルプロセスによるイノベーションを推進すべく、さまざまな手法を模索しています。
自動車業界は、ネットゼロエミッションの実現とESG基準の達成に向けて継続的な取り組みを行っています。これにはエンジニアリングワークフローの簡素化やデジタル化を通じたプロセスの効率化、材料歩留まりの最適化によるコスト削減、不良品の削減や金型修正の削減による工場稼働時間の改善などが必要です。
R11リリースイベントでは、オートフォームコリアから「品質ループがゼロになるロバストなデジタルプロセス」の発表がありました。その後、GMTCK製造技術ダイプロセスエンジニアリング部署では、ロバストなデジタルプロセスを実現するため、オートフォームコリアと共同で「ワンシステムによる連続したデジタルエンジニアリング」プロジェクトを立ち上げました。本稿ではこれまでの成果をご紹介します。
2023年以来、GMTCKはレイアウトモデリングプロセスの大幅な改革に取り組んでいます。GMTCK製造技術ダイプロセスエンジニアリング部署のエンジニアであるByongchan Ahn氏は、プロセスデザイン分野の新たな製品であるAutoForm-DieDesigner®Plusでボディサイドのアウター部品をモデリング、解析しました。オートフォームコリアは2024 年の主な活動の一環として、GMTCKと緊密に連携してAutoForm-DieDesigner®Plusでレイアウトサーフェスモデリングと見込み補正のモデリングを行う計画をたてました。これにより、モデリング、解析、見込み補正のプロセスにおいてワンツールシステムが実現し、他のソフトウェアへデータ変換する必要性が大きく低下します。
図1: ワンツールシステム: プロセス改善
第1回: ロバストなレイアウトプロセス
オートフォームおよびGMTCKでは、ロバストなデジタルプロセスのプロジェクトを2段階構成としています。
1. レイアウトサーフェスのモデリングプロセスを改善するためのロバストなレイアウトプロセス
2. 見込み補正の方法とモデリングプロセスを改善するためのロバストなスプリングバック見込み補正プロセス
見込み補正モデリングの改善については、第2回で詳しく説明します。
図2: ロバストなデジタルプロセスのキックオフミーティングとプロセスコンサルティング
ロバストなレイアウトプロセスのプロジェクトでは、AutoFormで直接モデリングすることで、モデリング時間とデータ変換時間の短縮を図りました。GMTCKの担当者が初期トレーニングを受講後にAutoFormを初めて使用しましたが、AutoFormの機能は直感的で使いやすいため、モデリングを効率的に行うことができました。またモデリングの経験がなかったエンジニアも参加し、十分なスキルを身につけることができました。
モデリングスキルの向上のため、オートフォームおよびGMTCKは「DieDesignerPlusモデリング研究グループ」を立ち上げました。GMTCKのメンバー全員が積極的に参加し、既存の自動車プロジェクトから製品のモデリングに適用できるモデリングのレベルを検討しました。各エンジニアの手法は社内で共有され、オートフォームとの毎週のテクニカルミーティングでは、テクニックや改善点に関するレビューとフィードバックが行われました。
図3: DDPレイアウトモデリング研究グループとDDPモデリングのトレーニング
オートフォームおよびGMTCKは1ヶ月間にわたって研究グループを開催し、最終会議ではロバストなレイアウトモデリングプロセスのプロジェクトの進捗を確認し、ロバストなスプリングバック見込み補正プロセスに関するプロジェクトの計画について話し合いました。このイベントでは、DieDesignerPlusに関するテクニカルサポートや要望をまとめ、共有しました。
GMTCKのByongchan Ahn氏は、ロバストなレイアウトモデリングプロセスのプロジェクトを評価し、次のように述べています。「モデリングの容易さは大きなメリットですが、改善の余地も残っています。DieDesignerPlus モデリングを作業プロセスに適用すると、既存のプロセスよりも時間を約22%短縮できます」
継続的なコミュニケーションを通じて顧客とのより緊密な関係を構築できたため、オートフォームではこのプロジェクトを成功と評価しています。
まとめ
GMTCKとオートフォームコリアは、今後も引き続きプロセスの改善に取り組みます。オートフォームの革新的な製品や手法を通じて、デザインプロセスにおけるCAD品質のモデリングと見込み補正のさらなる強化を図ります。この進歩によってワンツールシステムが実現すれば、解析とCADモデリングのトランジションタイムが削減され、他の重要な作業プロセスにより多くの時間を割くことができるようになります。モデリングの経験がないエンジニアも作業できるようになり、またモデリング時間も従来のプロセスよりも約22%短縮されます。オートフォームは顧客のニーズに配慮し、新たな技術を取り入れることで、プレス成形およびホワイトボディのデジタル開発プロセスの推進に貢献してゆきます。AutoFormが業界にもたらすさらなる改善と進歩は、今後明らかになることでしょう。
その第2回では、見込み補正モデルの改良点について詳しくご紹介し、実際の適用事例とともに、ロバストな見込み補正プロセスについて説明します。