TriboForm ~摩擦問題へのアプローチ~

【背景】
 プレス成形工程において、シートメタルは、シートと金型間の摩擦力と接触力を伴いながら成形されます。高品質の部品を保証するためには、ブランクや金型材料、コーティング、潤滑剤の特性を含むいくつかのパラメータが適切と見なされる条件を定義することが不可欠であり、且つ、プロセスパラメータは、ブランクホルダ力、パンチ速度、成形温度などが、トライボロジー(摺動条件)に影響を与える可能性があります。成形プロセスにおいて、これらのパラメータをすべて適切に理解し、考慮するには、高度な多次元摩擦モデルを使用する必要があります。しかしながら、成形シミュレーションに適用可能な摩擦モデル構築が難しい為、一定摩擦則での解析が支配的となっているのが現状です。

【必要性】
 摩擦課題を取り扱う必要性について、技術的な視点から2点ご紹介していきます。

図2. μ一定摩擦則との差

 ①現状のシミュレーション設定では、一定摩擦則の適用が多く見受けられます。しかしながら、プレス成型にて支配的な領域(図2. ハッチング部)では、摩擦係数への感度が高く、変化が大きい部分になり、一定摩擦則での予測が困難になると推察されます。

 

図3. μ材質毎による差

 ②図3は、TriboFormにてご用意しているデフォルトデータの材質間における摩擦係数の違いを示しており、摩擦係数の挙動の違いが見て取れます。且つ、実際の工程を考慮すると、金型表面粗さ、潤滑量の違いも不安定要素として考えられます。

 

[シミュレーションへの適用】
 摩擦モデルをシミュレーションに適用させる為に必要な考え方として、図4に示します。

        図4. シミュレーションへの摩擦適用

①~③ → TriboForm(摩擦モデル化)
④  → AutoFrom (FEM計算)

 連成解析により、複雑な摩擦現象を簡便、迅速、高精度化を実現しています。

【摩擦モデル化】
 TriboFormは摩擦モデル化において、複雑な摩擦現象を、実際の試験データから数学的物理モデルを使用して、高精度に同定するソフトウェアです。モデル作成に必要なデータとしては、潤滑剤種類、量、シートメタルの表面粗さ、金型の表面粗さが重要な要素となり、複数の摺動試験を組み合わせて摩擦モデル化を実施します。

 摩擦モデル化を実施した後、TriboFormソフトのみで、面圧、速度、温度、ひずみ、さらには、金型、シートの表面粗さ、潤滑量の摩擦係数への影響挙動を確認することが可能になります。
 FEM計算を実行する前に、摩擦係数の挙動を確認する事が可能になり、手戻りの削減、初期品質向上に貢献できると期待しております。

【活用事例】
◇1180MPaハイテンにおけるスプリングバック精度向上
キーワード :ハイテン、スプリングバック、金型玉成、B-pillar

◇最新の摩擦モデルが中国の大手金型メーカーの5つの部品を救済
キーワード  : 金型メーカー、しわ、Door-inner

詳細は下記弊社ブログよりご覧ください。 https://japanforming.com/category/tribology/

【お知らせ】

 各ユーザー様の摩擦課題解決に向けてのお時間として、毎週水曜日14:00~16:00でオンラインセミナーも開催しております。お申込みご希望の方は、seminar@autoform.jpまでメールにてご連絡ください。