シミュレーションにおけるトライボロジの重要性を認識させたトライボフォーム社

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大学の研究プロジェクトから国際的な成功までの軌跡
トライボロジに精通した2名の若者がシミュレーション市場を席巻

これは一般家庭出身の、しかし尊敬に値する2名の若者の話です。TriboFormは、シミュレーション業界で国際的な成功を収めたAutoFormの1モジュールとして認知され、今やボルボ社やダイムラー社といった大手自動車メーカーでも採用されています。しかし彼らはどのように、ここまで至ったのでしょう?この投稿では、この若者たちの物語をお伝えします。

主人公となるのは、トゥウェンテ大学の博士課程を専攻しているヨハン・ホル、そして企業買収について深い理解のあるヤン・ハーマン・ヴィーベンガ、このごくありふれた家庭で育った2名の若者です。ヤン・ハーマンは、ロバストな最適化およびプレス成形工程の博士課程を専攻していました。彼らは共に研究室で学ぶうちに、起業という形で彼らのスキルを役立てることができると考えました。

彼らは若きコンサルタントとして、企業訪問を重ねました。当初はロバストな最適化のソリューションに関するコンサルテーションを専門としましたが、むしろトライボロジに関する専門性について、お客様の関心が集まったのです。実際のところ彼らの目の前には、シミュレーションの新たな市場が広がっていました。

トライボフォーム社テクニカル・プロダクト・マネージャのヨハン・ホルは、以下のように述べています。

「トライボロジに関する案件は増え続け、ついには、ダルムシュタットで行われた権威あるトライボロジ会議 TriboForum基調講演の依頼を受けるまでになりました。主要OEMが揃って参加したこの会議では、業界を主導する大企業の多くからソフトウェアについてお問い合わせやご依頼をいただき、トライボフォーム社が本当の意味で始動した瞬間でした。そして私たちは、最適化戦略からトライボロジに完全に方向転換する決断を下したのです。そして社名もインプルーブ・ソリューション(Innprove Solutions)からトライボフォーム(TriboForm Engineering)へ変更しました。その当時、シミュレーション業界でトライボロジを専門的に扱う会社は皆無でした。事実上、我々が最初にこの穴を埋める存在となったのです。」

ビジネスを主導する立場として、これはブルー・オーシャン戦略の最たる成功例と言えるでしょう。トライボフォーム社は、2013年に正式に創業しました。ヨハン・ホルとヤン・ハーマン・ヴィーベンガは、当初、トライボフォーム社にて週1日程度、有償のコンサルティング・プロジェクトを提供していました。博士課程の修了後、会社を軌道に乗せるため、仕事に没頭しました。

彼らは機運に恵まれただけでなく、以前のコンサルティング業務で培ったネットワークにも支えられ、トライボロジに関する講演依頼が次々と舞い込むようになりました。「当時のお客様にとっては、すべてが新しいことでした。お客様は、ご自身に問題を抱えていることすら、認識がなかったのです。」とホルは述べます。これは業界にとって、まるで「目からうろこが落ちる」ようでした。

これまでは、数多くの実験を手作業で行い、複数の条件下で「最適な」摩擦係数を検討することが通例でした。しかし摩擦に関しては、固定値ではない何らかの数値が必要だと、多くの技術者が疑問を感じていたのです

TriboFormモデルを使用して摩擦係数を調整した場合の実効性やシミュレーションへの影響を確認したいという要望が企業から相次ぎ、TriboFormの需要はすぐに広がりました。そして驚くべきことに、未だ製品すら存在しない状態で、事業が本格始動したのです。彼らにはいわゆるTriboFormソルバーを提供しました。2015年当時、これは実用的な解決策でした。

しかし問題は、お客様がすべてを自社で検討したいと希望されたことです。コンサルタントが、独自の手法でトライボロジの影響を実証する手法は、敬遠されました。

そのためトライボフォーム社では、対応策となるソリューションを開発しました。TriboFormソフトウェア・パッケージとして、TriboForm Analyzer、AutoForm用のTriboFormプラグイン、およびLS-Dyna、Pam-Stamp用のプラグインの提供を始めたのです。

今ではこのソフトウェアを利用することで、お客様ご自身がトライボロジ・システムを選択して、ファイルへエクスポートすることができます。このファイルはTriboFormプラグインを通じて、例えば       AutoFormへインポートして使用できます。これにより、摩擦係数の固定値を適用していた従来の手法が、完全に刷新されました。この新たな手法は『TriboForm摩擦モデル』として、現場に大きな改善をもたらしました。

AutoFormの金型形状に摩擦モデルを適用します。それからシート材の粗さ、潤滑剤、機械設備を、まとめてモデルへ設定します。簡単に言い換えると、シート材を拡大すると、谷間や山脈のような凹凸を見ることができます。これは「粗さ」の係数に置き換かえることができます。TriboFormでは、これをプレス成形中の摩擦計算に利用します。

そして今日のトライボフォーム社は、市場に確固たる存在感を示しています。そしてプレス成形業界に大きな変革をもたらしました。

シミュレーション業界では、Apple、Google、Microsoftに匹敵する成功事例です。7名の社員が結託したトライボフォーム社は、若々しく、活気にあふれ、そしてソフトウェアの開発に非常に意欲的に取り組んでいます。

 

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