ブラジル デルガ社: 近年のプレス業界における女性の立ち位置

デルガ社カミラ・ヴァリムがプレス業界で女性が直面する壁を乗り越えるまで

 本稿は平等と機会を称える「女性の視点から読み解くプレス加工業界」の第二部です。

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 自動車業界は、技術革新と労働力の変化によって急速に変革が進んでいます。この変革の中で、特に重要な役割を果たしているのが女性です。しかしAutomotive Business誌が実施した「2021年自動車業界における多様性調査」によると、自動車業界の管理職は依然として男性が大半を占めており、女性の割合はそのわずか20%にとどまっています。幸い、この数字は上昇傾向にあり、より多くの女性がエンジニアリング、生産、品質管理などの技術分野に進出を続けています。

 以下、困難を乗り越え、さまざまな分野で活躍している女性たちをご紹介します。

デルガ社予算担当エンジニア、カミラ・ヴァリム氏による声明

「私たち女性が成し遂げられることに限界はない」 – ミシェル・オバマ

デルガ社 カミラ・ヴァリム

 カミラ・デ・オリヴェイラ・ヴァリムと申します。25歳で、ENIAC大学センターでメカトロニクス技術の学位と産業機械工学の学士号を取得しました。またゲツリオ・バルガス財団でプロジェクトマネジメントのエグゼクティブMBAを学んでいます。また技術分野ではプロジェクト、ソフトウェア、エンジニアリング、プレス加工のコースを受講し、認定資格を取得しています。

 私は昔から技術分野に興味を持っていました。子供の頃は土木技師に憧れていましたが、高校でメカトロニクスの技術コースを受講した際に、機械工学こそが自分の運命だと気づきました。

 2015年半ば、オートキニトン(旧タワーインターナショナル)社で自動車市場に携わる機会を得ました。 そこで私は、公私ともに最高にやりがいを感じた7年間を過ごしました。 17歳で実習生として働き始め、見積もり担当部署へと昇格しました。当時、自分がこれほどの情報や知識を吸収することになるとは思いもしませんでした。私はその部署に配属された最初の女性見積担当者であり、在籍中、私はプロ意識が高い先輩方から多くを学びました。先輩方は私を励まし、さまざまな研修を行ってくれました。部署の大半は男性でしたが、誰もが私に対して常に敬意をもって誠実に接してくれ、技術的スキルも十分に評価していただきました。

 自動車業界で働くことがいかに大変かは覚悟していました。同僚と肩を並べるには、人一倍の努力を重ね、より多くを学び、全力を尽くさなければなりません。なぜなら、この分野は男性が圧倒的に多く、女性は少数しかいないからです。私は女性が少ない工学部へ進学することを決めた時から、重圧を感じていました。しかし私はそのプレッシャーに屈することはありませんでした。学士課程を無事に修了し、さらに2019年度後期の機械産業工学科で最優秀最終論文賞を受賞しました。この受賞は私にとって大きな励みとなり、女性であっても、目標を定めて努力すれば何事も達成できるという自信につながりました。

 2022年の初めにデルガ・グループの予算編成部署への異動が決まりました。同僚たちは私を温かく迎えてくれました。私はここでやりがいのある仕事をこなし、同僚たちと同じ責任、義務、評価を受けています。この部署は助け合いの精神が根付いています。私たちはお互いを尊重しながら、常に敬意を持って協力し合っています。

 自動車業界で働くことを選んだ女性たちの一員であることを誇りに思います。この業界の女性たちは、どんな役割でも果たし、どのような困難にも立ち向かうことのできる、強く、勇敢で、賢く、自立した女性たちです。私たちは互いに励まし合いながら自分の居場所を守り、そして認められるために戦っています。私は自身で選択した職業や学業にやりがいを感じています。そして知識を共有する機会を嬉しく思い、また自分自身が積み上げてきたキャリアや、自分に対する評価にも満足しています。

 私たちが築いてきた平等な社会が、文化として深く根付いてゆくことを心から願っています。どの業界においても、すべての企業が男女を公平かつ平等に扱うことが当たり前となる未来が訪れると信じています。そして実務、技術職、そして管理職に就く女性の数が大幅に増え、多様性が推進され、より公平で包括的な社会が実現されることを確信しています。

デルガ社製造技術部ブルーナ・アラウージョ・ダ・シルバ氏による声明

デルガ社ブルーナ・アラウージョ・ダ・シルバ氏

 ブルーナ・アラウージョ・ダ・シルバです。現在30歳で、グランジABC大学で機械工学の学位を取得しています。現在はプロジェクトマネジメントのMBA取得を目指し、製品およびプロセス開発に関する複数のコースを受講しています。また、グリーンベルト/シックスシグマの認定も取得しています。

 2009年に父が旋盤工として勤務していた工場を訪れた際に、この業界への興味が芽生えました。工場見学中、男性が大半を占める業界で奮闘する女性を目の当たりにし、これは私にとって目が覚めるような経験であり、自分が望む道を追い求めてもよいのだと示してくれました。当時すでに工学部に在籍していた兄も私を応援してくれました。翌年、私は機械工学の学位取得を目指して勉強を始めました。しかしその最中、父が失業し、学費を払うことができなくなってしまいました。 それでも私は強い意志と信念を持ち続け、努力を重ねて全額奨学金を獲得しました。 大学初日、私のクラスには男子学生が35人に対して、女子学生は3人しかいないことに驚きました。この不均衡の中で、私は女子学生でも優れた成績を収め、目標を達成することができることを証明しようという決意を固めたのです。

 その年、私はインターンとして仕事を探し始めました。工業分野での就業経験がない女性がその分野で職を得るのは難しいだろうと感じていましたが、それを痛感したのは、企業選考の過程でした。すべての試験に合格したにもかかわらず、最終面接の日に人事部から選考を外れることを告げられました。その説明は衝撃的なものでした。「あなたは最も優秀な候補者で、すべての段階をクリアしましたが、マネージャーが女性を採用したくないと言っています」と言われたのです。この言葉で、私の世界は崩れ落ちました。大学を辞めて他の業界に進むことすら考えました。しかし、私は力を振り絞り、「どんな困難も乗り越える」という目標を掲げて頑張りました。翌月、電気パネルを扱う企業で初めてのインターンとなり、そこで多くのことを学び、1年後に採用されることとなりました。

 2012年、私はフォルクスワーゲンのインターンシッププログラムに参加しました。これが私のキャリアの転機となったのです。この経験を通じてエンジニアリングに対する私の情熱は確固たるものとなり、また自動車メーカーで働くという夢も実現することができました。翌年、私はデルガ・ディアデーマ社で生産技術部のインターンに応募し、候補者10名の中で唯一の女性として、選ばれました。

 デルガ社での勤務には、大きな壁が立ちはだかっていました。当初は何事も簡単に進まず、私が女性であるという理由だけで、私の能力が劣っているとよく決めつけられていました。それでも私は諦めませんでした。キャリアを築くという決意があったので、何があっても立ち止まるつもりはありませんでした。そしてカナダのトロントとの交換留学への参加など、多くの目標を達成しました。これらはすべて、努力と献身の結果です。デルガ社には素晴らしい指導者がいます。私の原動力は、学ぶこと、経験を積むこと、そして卓越することでした。実習生からアシスタント、アナリスト、そして現在のプロセスエンジニアへと、さまざまな職務を経験してきました。現在は継続的改善グループのコーディネーターとして、数々のプロジェクトを実践し、会社に多大な利益をもたらしています。この仕事に大きな充実感を感じています。また、困難に直面しても諦めずに取り組んできたこと、そして努力が認められたことを誇りに思っています。

 すべての女性にお伝えします。夢を恥ずかしいと思わないでください。不安と向き合うのです。そして誰にも自分の成功を決めつけさせてはなりません。私たちは、望むもの、夢見るもの、何にでもなれるのです。そして、何より重要なのは、決してあきらめないことです!