AutoFormの活用を通じたプレス成形解析チームの作業効率化
SDM社のプレス成形解析チームは、2009年からAutoFormを活用しており、熟達したマスター・レベルのユーザーによる主導のもと、見込み補正モデルの作業時間200%短縮を達成しました。本稿では、高い競争力を誇る企業が、シミュレーション・ツールを活用して金型製造の寸法精度を高め、トライアウトの時間短縮を実現した事例をご紹介します。
SDM社は国内のプレス加工会社との競合において、着実に競争入札を勝ち取ることで知られています。また先日韓国で行われたロバスト性解析の研究発表からも明らかなように、同社はAutoFormにも精通しています。オートフォーム社はSDM社と良好な関係を築いていることから、昨年新たに導入されたAutoForm-ProcessDesignerforCATIAの活用現場を視察訪問しました。
SDM社プレス成形解析チームのリーダーを務める
コン・ドンジン氏は、次のように説明してくれました。「CATIAで作業していた当時は、1週間に10個の部品しか対応できませんでした。しかしAutoForm-ProcessDesignerforCATIAを導入してから、いまでは20個の部品に対応できるようになりました。作業スピードは、文字通り、倍増したのです。すべての金型タイプでプレス成形プロセス全体のシミュレーションを行うことができ、工程解析モデルが必要な順送金型、タンデム、トランスファ型などにも対応しています。CATIAでは時間を要していた作業でも、この新たな効率化で時間と工数を半減できます。また別の点として、解析が工程ごとに実行可能であることや、ドロー・シェル機能のおかげもあり、(フリー・スプリングバックのみが考慮された以前とは異なり) スプリングバック見込み補正の精度が非常に高いことにも満足しています」。
工程全体がCADベースとなり、3Dレイアウトを扱えるようになったことで、関連するモデルをCATIAとリンクさせることができるようになり、作業が格段に簡単になりました。「当初はこのソフトウェアをプロセス・エンジニアリング(フローチャート)を検証するために購入したのですが、見込み補正のモデリングにも活用できることや、初期のシミュレーションに役立つこともわかり、大きなメリットを感じています。またサーフェスのモデルでも、「品質確認」機能を活用することで、機械加工を円滑に行えるようになりました」とコン氏は語ります。
「ぜひお伝えしたいことがあります。コンペンセータ機能によってスプリングバック見込み補正の品質が格段に向上しました。CMMの初期スコアにおけるPIST(公差内のポイント)は、平均で80ポイント以上、最大で90~100ポイントを達成しています。ドロー・シェル、スプリングバック解析および見込み補正を含む、見込み補正の結果を成形工程に適用すると、これら3つの工程が完了した時点で、加工データが完成します」。
SDM社で見込み補正を行った材料には、軽量化を重視した
海外のハイエンドのスポーツカーにも採用された板厚2.5mm超のアルミニウムがあります。他にもピックアップ・トラックのサイド・メンバーのリヤ・プレートに使用する3.6mmのアルミニウムなどもあります。コン氏によると、顧客の要件に応じて、SDM社のほぼすべての製品にスプリングバック見込み補正を行っています。
AutoForm導入後の変化について、コン氏は以下のように述べています。「デジタル・エンジニアリングをより重視するようになるにつれ、トライアウトに必要とされる人数が減ってきています。かつては、工場の作業員に多くの負担がかかっていましたが、いまでは、ソフトウェアに大きく依存しています。現場で問題が生じると、まず解析チームに調査を依頼し、そこで提示された解決策をもとに、トライアウトを行います。シミュレーションの良好な結果が、エンジニアリングの基礎を成すのです」。さらには「思い返せば、手作業で行っていたトライアウト工程の多くを、まず標準化しました。近頃は現場作業員の研修まで、AutoFormをベースに行っています」とコン氏は説明を続けます。
またコン氏の説明によると、韓国の部品製造現場では、今でも多くの工場が時代遅れのノウハウと肉体労働に大きく依存しています。しかし、部品や金型の精緻化に応じて成形性がより複雑になる中、プレス成形解析の重要性は飛躍的に高まっています。このため、韓国の産業界においても、成形性解析の活用が今後ますます広まると予見されます。
SDM株式会社 (www.toolmaker.co.kr)は、2001年に韓国の光州で創業し、現在100名を超える従業員を擁しています。金型メーカーとして、鋳造や鋼材の順送金型、ライン型、トランスファ型など、さまざまな製品を提供しています。顧客には、現代自動車、起亜自動車、GM、フォード、マグナ、フォルクスワーゲン、プロトン、トヨタ、SGM、JAC、ウチダなど各社が名を連ねます。詳細はSMD株式会社のウェブサイトをご確認ください。