肩越しに垣間見るプレス金型のサーフェス開発

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 プレス製品の製造工程のシミュレーションは、昨今、その重要性が非常に高まっています。シミュレーション結果を現実と一致させるには、まずサーフェスが高品質であることが必須条件となります。サーフェスがCAD品質であることに加えて、実際の金型形状を忠実に再現している必要があります。シミュレーションで使用する形状は、切削加工後の形状通りでなければなりません。本稿では、金型設計のできるだけ早期段階から、切削加工後の高品質な金型サーフェスを作成してシミュレーションを行い、シミュレーションと現実と一致させるために用いた方策について、お客様の事例をもとにご紹介します。

図1- ドロー金型面 -パンチとバインダー

絶え間ない修正依頼

 標準化されたプロセスにおいて、コンセプト検討段階で金型サーフェスを修正することができれば、後の段階での手間を省くことができます。一般的にCADソフトウェアでは修正に時間や工数がかかるだけでなく、その修正がどのような影響を及ぼすかが不明な場合もあります。そのため、修正後にまた設計をやり直すことにもなりかねません。

 Vtron設計事務所のエンジニアリング、プロジェクト、シミュレーション担当ディレクターで、自身がソフトウェアのユーザーでもあるアランA. デ・モウラ氏は、その報告書の中で次のように述べています。「設計の検討を重ねる上で、ドローモデルを何度も修正しなければなりませんがAutoForm-ProcessDesignerforCATIAを活用すれば、このようなトライアンドエラー効率的に対処することができます。このソフトウェアでのモデル修正作業は非常にインタラクティブで、また一連の作業を簡単に完結できるような画面の構造と機能が提供されています。そのため形状をどのように変更したらどのような影響が生じるかついてさほど気にかけることなく、不具合の解消することに集中できます

 AutoForm-ProcessDesignerforCATIAの標準化されたワークフローに従ってモデリングすることで、CAD標準のコマンドを使用するよりも簡単かつ明確にカット金型を作成することができます。またトリムやスクラップのレイアウトを設計する際には、専用の解析ツールでトリム角の状態を素早く確認できます。

見込み補正サーフェスの品質

 シミュレーションソフトウェアで見込み補正を行うと、形状を補正することで金型サーフェスに不具合が生じ、最終部品の品質に影響を及ぼす場合があります。見込み補正を効率的に行う上で、シミュレーションを活用することに全く問題はありません。しかし、生産用金型の切削加工を行うには、サーフェスの品質を管理しなければなりません。AutoForm-ProcessDesignerforCATIAとシミュレーション間はスムーズに情報をやり取りすることができるため、シミュレーション結果をCAD品質のサーフェスに最小限の工数で簡単に反映させることができます。

 アラン氏は次のように述べています。「点群をインポートしてサーフェスの見込み補正を行うことで切削加工用のサーフェスを作成する工程を円滑に進めることができます。このソフトウェアは設計工程を効率化できる素晴らしいツールです」

 ユーザーのレオナルド・フェルナンデス・ドンピエリは、以下のとおり見込み補正を行いました。

図2-見込み補正ベクトルフィールド

 まず、ドロー工程で製品上部(デザイン面)を補正するために、シミュレーションソフトウェア上でねじれ方向の変形を加えました。何度か補正を行った後、シミュレーションソフトウェアで生成したベクトルフィールドをエクスポートして、前述のモジュールに適用しました。

 シミュレーションで検討した理想の形状を実機で再現するために、基準の金型サーフェスを直接見込み補正しました。そのサーフェスを面品質解析ツールで検証すると、修正した形状の品質には問題がないことがわかり、それをもとに製造を開始することができました。レオナルドは次のように述べています。「ソフトウェアの機能を活用することでサーフェスの品質がデザイン面の基準を満たすレベルしました。次のプロジェクト以降面品質不良の修正はまったく不要になると考えています」

図3-デザイン面のハイライト評価

 昨今の企業は、事業の成功要因として「時間」と「品質」を重視する傾向にあります。AutoForm-ProcessDesignerforCATIAは時間短縮と品質向上を促進する、プレス金型の開発に不可欠なツールであり、優れた品質と素早い結果でROIに貢献します。

アディルソン・カルモナ・ドゥトラマウア工科大学(IMT)機械工学科卒。AutoForm技術チームのメンバーとして、技術サポートや立ち上げのプロジェクトに従事。adilson.calmona@autoform.com.br



取材協力

Allan A. de Moura – Engineering Director of Project and simulation at the Vtron Project Office. アラン・A・デ・モウラ – Vtronプロジェクトオフィスプロジェクトおよびシミュレーション担当ディレクター。

 

レオナルド・フェルナンデス・ドンピエリ – Gestamp Paraná社サーフェス・シミュレーション担当エンジニア。