解析手法としてのスキッドライン検出機能をご活用ください。
自動車の外観は売上に直結します。またスタイリッシュな自動車ほど、売上がさらに伸びる傾向にあります。
機能性に加えて特徴的な外観を持ち合わせた自動車が、お客様の心を捉えるのです。この理由から、視覚的に訴求するものづくりが、メーカーにとっての最重要課題となります。つまりシートメタル製品加工メーカーの場合、最終製品の「クラスA」サーフェスにへこみやしわ、そしてスキッドラインが生じないための対策を講じることが重要です。
スキッドラインについて
スキッドラインは、金型に対してシートメタルが引きずられることに起因するシート上の損傷です。これは視認可能な引っかき傷として、最終部品のサーフェスに残ります。
図1: 金型半径とドロービードに起因する金型側面の引っかき傷
部品製造において材料の流入を伴う成形手法を用いる場合、この種の不具合は回避することができません。したがって工程設計ではこのような不具合に留意しながら材料の動きを管理し、品質維持に努める必要があります。図2ではシミュレーションで複数のスキッドラインを検出した例を示しています。
図2: AutoFormが検出したスキッドライン
スキッドラインの緩和方法
シートが金型サーフェスのフィーチャー・ライン上を移動する際に、スキッドラインが生じますが、材料の流れを次のように制御することで、スキッドラインを緩和できます。1. 余肉のデザインでフィーチャー・ライン両側の引張りの均衡を調整して材料の移動を抑制。2. ビードやバインダのスポッティングによってシートの移動を同様に制御。基本的な手順に従って諸要因を考慮した工程設計を行いますが、しかし緻密に設定されたシミュレーションを用いることで、より確実に評価を行うことが可能になります。オートフォームにはシートメタルに生じるスキッドラインを自動予測する機能があり、実部品との相関性が高いことが証明されています。この自動予測機能のほか、ユーザーが手動で任意の金型にラインを追加し、その金型からシートメタルの特定領域に生じるスキッドラインを予測することもできます。
シートメタルのスキッドラインをオートフォームで予測するには、半径と面圧の入力条件が必要です。スキッドラインが生じない最大の許容半径を用いて、金型形状の解析を行うのです。シートに接触する入力値よりも小さい半径であれば、最初の条件を満たします。金型がシートメタルに加える面圧が指定下限値以上であり、そして金型半径が指定値よりも小さく、そして材料が金型上を移動する場合には、成形中にスキッドラインが生じることが予想されます。図3は材料の流れの断面図でスキッドラインの始点(黄色)と現在の位置(緑色)を示しています。
オートフォームにはそれぞれの条件に応じた推奨値があり、その相関性について多くのお客様から高い評価をいただいています。しかしお客様には、直近に確認された品質データを用いて結果を相関させ、履歴や経験値、また求める品質レベルも考慮しながら、スキッドラインの予測に用いる半径値と面圧値を算出することをお勧めします。外観品質は主観的に評価されるものです。お客様が求める品質要件に応じて、最終的な基準を決定すべきです。