IDDRG 2019国際会議にてOEMからTriboFormが紹介されました
2019年6月3~7日にオランダのエンスヘデにて、第38回IDDRG(International Deep Drawing Research Group)が開催されました。この国際会議では、プレス成形の主導的立場にいる世界各国の専門家や研究者たちが一同に会し、プレス成形のテクノロジ分野の諸問題について意見交換が行われました。冷間プレス成形シミュレーションにおけるトライボロジの重要性に関するセッションでは、ダイムラー社およびルノー社から事例が発表され、高品質な部品のシミュレーションおよび生産には、トライボロジが主要な役割を担っていることが示されました。本記事では、大手OEMがTriboFormをエンジニアリング工程に適用し、生産不良の解消やスプリングバック量の緩和を実現した2点の事例をご紹介します。
事例1: メルセデスベンツ乗用車のフロント・フェンダ
ダイムラー社では、メルセデスベンツ乗用車の新型モデルのフロント・フェンダを評価する上で、複数のドロービード・モデルとTriboFormの摩擦モデルを組み合わせて検討を行いました。すべてのドロービード・モデルにTriboFormの摩擦モデルを適用した結果、部品のシミュレーション精度が向上しました。TriboFormを適用すると、異なるドローモデル間の流入やひずみの変動が小さくなることが確認されました。また一定摩擦係数を使用した場合と比べて、3Dプロファイルのドロービードを使用したTriboForm摩擦モデルでは、実験値と良好に一致することも確認されました。
さらにフロント・フェンダの流入とスプリングバックの予測も詳細に評価しました。図2の右図は、フロント・フェンダ部品を最適化せずに、最初のトライアウト実行後のスプリングバック結果を示しています。部品のスプリングバック量を計測し、シミュレーション結果と比較しました。TriboForm摩擦モデルを使用したシミュレーションでは、クーロンの一定摩擦係数を使ったシミュレーションよりも、スプリングバックの予測精度が明らかに向上します。また流入についても、一定摩擦係数の適用時よりも、正確に予測されます。詳細については会議資料をご確認ください。
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事例2: ルノータリスマンのトランク・リッド、インナー部品
次のプロジェクトでは、ルノー・グループおよびタタ・スティール社がTriboFormと協業して、トランク・リッド、インナー部品の生産中に確認された、われやしわなどの不具合の原因を検討しました。一定摩擦係数を使用したシミュレーションとTriboForm摩擦モデルによるシミュレーションの結果を比較しました。そして実際に生産した部品では、一定摩擦係数を使用したシミュレーション結果よりも流入が少ないことがわかりました。しかしTriboForm摩擦モデルを使用したシミュレーションでは、流入は実部品のアウター・エッジにより近くなりました。ひずみの大きさについても、一定摩擦係数を適用した場合は、発生個所や大きさが生産部品と一致しませんでした。TriboForm摩擦モデルの適用時には、致命的なひずみの大きさと発生個所を予測しました。最後に生産部品とシミュレーションで確認されたしわを比較すると、両方のモデルで生産と同様のしわを予測しました。
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IDDRG 2019国際会議について
IDDRG 2019は、トゥウェンテ大学ならびに欧州タタ・スティール社が主催する国際会議で、オートフォーム社は主要スポンサーです。TriboFormはオートフォーム社製品であると同時にトゥウェンテ大学のスピンオフ企業でもあり、タタ・スティール社から協力支援を受け研究開発が進められているため、IDDRG 2019にてTriboFormの事例を発表させていただきました。