トリム刃作成工数30-40%低減~AutoForm-ProcessDesignerforCATIA活用事例~

本稿では関東の大手金型メーカーである株式会社オギハラ(以下オギハラ)でのAutoForm-ProcessDesigner forCATIAの活用法をご紹介いたします。

 オギハラは、常に多くのお客様の要望にかなった金型製作を得意としており、日程、品質、仕様の順守に重きを置いていることで名声を得ております。

 その仕様は、お客様の数と同じだけ存在します。そのためお客様の仕様を遵守することは、共通仕様になりづらい一面を持っているため、思いも寄らない、または不慣れな作業故の超過工数を生むことがあります。この作業は避けられないため、日々社内仕様として共有できるように考慮する内容、工数低減の目標となっています。

 2016年よりAutoForm-ProcessDesigner forCATIAを活用し、早期検討用のシミュレーションモデルから見込み用モデルまで、他のCADソフトと併用して工数低減並びに品質向上を実現しています。

 その作業の1つに、トリム刃のモデル(形状)作成があります。トリムラインを確定した後の、食込み量、シャー、スクラップ部の山下げなどです。製品形状や工程計画により、工数は大きく変化します。トリム刃の数が非常に多く、成形部以外の形状作成には非常に多くの工数を費やしていました。この作業も、仕様の1つにあたります。ただし、詳細な寸法を除けば、共有として工数低減可能な作業となります。

 今回ご紹介する内容は、AutoForm-PrcessDesignerforCATIAを活用する事で、トリム刃のモデル作成工数を30-40%削減する事が出来た成功事例です。

【工数低減】
・現行
1 運用CADにより、絞り形状面から切刃エリア抜き出し
2 トリム刃の食込み並びにシャーをマニュアル作業 (モデル面の上げ下げ)
3 ボカシ区間をマニュアルにて繋ぎ調整
4 余肉・バインダ面へ、先あたりを考慮し面の角度付け並びに逃しを
マニュアル作業
5 スクラップ部の面を山下げ (形状によるが工数の掛かる作業であった)
6 複数箇所存在 

都度1~5の繰り返し作業

・AutoForm-PrcessDesignerforCATIA活用による変更

 機能名:トリム金型サーフェス定義:(切刃タイミング面の作成機能)
     展開フランジ
     複合ガイド 等の組み合わせ

 1 複合ガイドを使用しトリムラインから切刃エリアを作成、切出し
(図1参照)

図1.トリム刃切出し

2 食込み・シャー作成 (トリム金型サーフェス定義) (図2参照)

図2.食込み・シャーの作成

3 作業省略 (トリム金型サーフェス定義の機能により現行の作業不要)
4 作業省略 (トリム金型サーフェス定義の機能により現行の作業不要)
5 同時に食込み・シャー部の山下げ面作成 (図3参照)

図3.トリム刃の山下げ面

6 複数箇所存在 都度1~5の繰り返し作業

【結果】
 CADによるモデル作成作業の中で、トリム刃の作成作業を共有作業とし、工数低減を目標としました。
 既存CADによる手順に、AutoForm-PrcessDesignerforCATIAを組み込んだ結果、既存CADの手順の(面倒なマニュアルによる繋ぎ・ぼかし)作業を排除し、且つ簡単にトリム刃の形状を作成することが可能となりました。また、この作業により結果として40%超の工数低減を達成しました。これはトリム刃の数が多くまた、難形状であればあるほど、工数低減効果が大きくなるということが出来ます。

【まとめ】
 今回、AutoForm-PrcessDesignerforCATIA  R9で追加された新機能“トリム金型サーフェス定義”を活用した事例をご紹介いたしました。
 1つの機能でも、工数低減を確実にした内容でした。今回ご紹介した内容は、多くのお客様の業務に共通する作業と考えられます。小さな作業範囲のようですが、目標をもって、検討していただくことで、AutoForm-PrcessDesigner forCATIA の機能の有効利用により、目的に叶った活用法を見出だすことが可能となりました。
 オギハラは、今回の機能の他、AutoForm-PrcessDesignerforCATIAに実装されている様々な機能を活用することにより、モデル作成作業における工数低減も達成しています。また分業法(詳細は機密)など、新しい手順も検討しています。同時にAutoForm-Compensatorとの組み合わせによる見込みのモデル作成手順なども実行・検討・進行中で、更なる工数低減を目指し、競争力を高めています。
 最後に、データの一貫性を持たせることも、大幅な工数低減に繋がります。オートフォームでは、CAEとCAD、つまり、AutoForm-FormingとAutoForm-PrcessDesignerforCATIA に密接な関連性を築いており、本ソフトウェアの活用により更なる工数低減を見出すことが可能であると考えます
 冒頭、お客様の数に応じて仕様が存在することをお伝えしました。細かい内容は、大きな差異として存在しますが、作成・製作手順では大きな差異はないと考えます。新技術の対応が難しい昨今、いかに無駄を省き、共有・共通を見出していくかが、工数低減の一つに繋がっていきます。