フォルシア・クリーンモビリティでは、最適な部品設計と安定した生産を通じてコストを最適化し、同時にお客様のご要望にもお応えするために、高い専門性が求められる日常業務にシミュレーションを活用しています。同社のマルク・べレンコントル氏にお話を伺いました。
フォルシア・クリーンモビリティ(FCM)は、フォルシア・グループの4つの事業部門の1つで、排出ガスを限りなくゼロに近づける「ゼロエミッション」のソリューション開発と生産を専門とする自動車部品メーカーです。1975年にバヴァン(フランス、ドゥー県)に設立された研究開発センターでは、排気系装置の排出ガス制御、エネルギの回生、エンジンの改良、新たな音響設計などのソリューション開発に注力し、また2018年からは水素貯蔵システムの開発にも取り組んでいます。
本稿を執筆している私自身は、アルセロール・ミタル社にて数年間の就業後、FCMに入社して10年になります。プレス成形技術者として部品設計部門と緊密に連携し、お客様が必要とする機能の実装だけでなく、コスト削減やリードタイム短縮も重視し、量産にも適した製品の開発に携わっています。
排気系部品はすべてを特定の(限られた)スペースに収納しなければならないため、自動車部品開発の中でも特に高い専門性が求められます。排ガス規制の厳格化に伴い、多くの部品が追加されてゆく中、このスペースの制約を考慮しながら最適なソリューションを開発することが課題となっています。またコンポーネントをどのように分割するかも重要です。これはたとえば、ハイドロフォーミングやプレス成形といった製造手法の選択にも関わってきます。これらは部品設計者が検討すべき事項ですが、できるだけ早い段階で正しい選択をする必要があります。
排気系部品はすべてを特定の(限られた)スペースに収納しなければならないため、自動車部品開発の中でも特に高い専門性が求められます。排ガス規制の厳格化に伴い、多くの部品が追加されてゆく中、このスペースの制約を考慮しながら最適なソリューションを開発することが課題となっています。またコンポーネントをどのように分割するかも重要です。これはたとえば、ハイドロフォーミングやプレス成形といった製造手法の選択にも関わってきます。これらは部品設計者が検討すべき事項ですが、できるだけ早い段階で正しい選択をする必要があります。
この初期段階の設計を評価する際には、AutoFormを効果的に活用することで、作業を迅速化することが可能になります。部品設計にはCADを使用しますが、設計した部品のフィージビリティはAutoFormで検討することで、信頼できるフィードバックを素早く得ることができます。部品ごとに、アンダーカット、半径、曲率などを確認しなければならず、また、排気の観点から最適なパラメータを特定しても、それが製造には適していない場合もあるため、多くの場合、双方の妥協点を見出さなければなりません。
私自身はCAD担当部署をサポートし、製造工程に関する基礎知識を共有することで、部品に必要とされる機能の実装と、安定した製造の両立を目指しています。つまり良好な部品をできるだけ速やかに生産することを目標としています。
この段階では、チューブ成形とプレス成形の両方にAutoFormをよく活用しています。これは、工程の不具合を特定し、設計をわずかに変更するだけで不具合を回避できるかを簡単に検討できる、非常に優れたツールです。このツールを有効活用すれば、部品を極めて迅速に評価し、不具合の対応策を部品設計者に説明することができます。私はAutoFormを使い、不具合を解消するためにどう部品設計を変更すべきかを即座に検討し、またその変更がフィージビリティにどう影響するかをシミュレーションしています。設計が決定していない段階での検討会議では、AutoFormが活発なコミュニケーションを生み出すツールとなります。私自身としては、意見を伝える際に絵を描いて説明する必要がなくなったことが、特に便利に感じています。AutoFormを使えば、5分足らずで部品を直接修正し、部品設計者にCADファイルで変更すべき点を指摘できるからです(図1)。
図1: 速やかに部品を修正し、CADで部品をどのように修正すべきかを提示できます
AutoFormで修正したサーフェスのデータは、そのまま他の関連部署でも活用することができるため、作業の効率化が図れます。AutoFormで修正したサーフェスを.iges形式でエクスポートすれば、それを下流工程で流体解析や熱機械解析に直接適用することができます。下流工程では、CADサーフェスが仕上がるまで待機する必要がなくなるのです。
また、AutoFormを有効活用することで、部品設計者が自信をもって設計を検討し、高品質で安定したワークフローを定義できるようになるだけでなく、社内で知識を深めることにも役立ちます。部品設計者には、AutoFormを使って自分自身で部品を確認し、次の作業に進む上でアドバイスが必要な場合には、私に相談するように伝えています。特に言葉の壁がある異国の同僚とコミュニケーションをとる際には、言葉よりも絵を描いて不具合を説明する方が簡単に通じることも多くあるので、私は特にインドの同僚とやりとりする際に、AutoFormをよく活用しています。
図2: 最初から適正な結果を得る
AutoFormのソリューションを活用することで、目指すべき目標を社内で共有し、それに応じて計画を作成することができます。さまざまな部品に必要な材料の消費量や工程計画全体を把握しながら、自信を持ってお客様のご要望にお応えすることができます。弊社の営業部門でも、お客様とのコミュニケーションを促進するツールとして、シミュレーションを活用することを前向きに検討しています。シミュレーションを通じてより詳しく説明し、必要に応じて妥協点を見出すことができます。開発期間の短縮が求められる中、最初から適正な結果を得ることは益々重要になってきています。その観点からもAutoFormはもはや事業成功に欠かせないツールとなっています。
フォルシア社について
1997年に創立されたフォルシア社は、世界の自動車産業を牽引する大手企業へと成長を遂げました。35カ国に266の産業拠点、39の研究開発センター、114,000人の従業員を擁するフォルシア社は、シート、インテリア、クラリオンエレクトロニクス、クリーンモビリティという4つの事業部門にて、グローバルリーダーとして活躍しています。グループの強力な技術提供により、自動車メーカーに未来のコックピットと持続可能なモビリティのソリューションを提供しています。2020年の報告書によると、グループの総売上高は147億ユーロにのぼります。フォルシア社はユーロネクスト・パリ証券取引所に上場しており、CAC Next 20インデックスの構成銘柄となっています。詳細についてはwww.faurecia.comをご確認ください。