デジタル・プロセスの効率化: AutoForm-ProcessDesigner^forCATIAが成功を導いたCurve Engineering社の事例

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OEMがCATIAデータのみを扱う場合について【スティーブ・ハケット氏の談話】

 Curve Engineering社は、部品プレス成形シミュレーション、歩留まり検討、金型設計、および試作を専門としたコンサルティング会社で、OEMや1次サプライヤを顧客に有しています。社長であり創業者でもあるスティーブ・ハケット氏は、リードタイムを短縮しながら、エンジニアリングでフィージビリティを担保できる手段を常に模索しています。Curve Engineering社ではCATIAの使用経験がない社員もいる中、ダイフェース設計ソフトウェアとしてAutoForm-ProcessDesignerforCATIAを最近導入しました。その効果をどのように実感したか、ハケット氏にお話を伺いました。

 お客様とのデータ交換は、当然のことながら、お客様が使用するCADシステムに依存することは周知のとおりです。Curve Engineering社では多くのOEMやサプライヤと取引がありますが、お客様とのデータ交換に関しては、データ変換に起因する不具合を回避するため、エラーがないサーフェス・データと全工程モデルを要求しています。大手OEMの場合、この要件を満たさなければ、入札に参加できません。当社ではCATIAの使用経験がない少数派の社員のために、CATIAとAutoForm-ProcessDesignerforCATIAの両方を同時に導入するという、独自の立場を取っています。同社ではプレス成形シミュレーションでもAutoFormを積極活用しているため、AutoForm-ProcessDesignerforCATIAはまさに理にかなった選択でした。

 ハケットさん、最近お客様から受けた依頼について、お話を伺えますか?

 このコロナ禍において、データ転送が重要な役割を担ったことがきっかけとなり、新規のお客様からご依頼をいただきました。ある金型メーカーがドイツで新しい金型を作成し、それを英国の工場に設置する予定でしたが、コロナ禍で旅行や出張が制限される中、エンジニアを英国へ派遣できなくなったのです。担当者を10日間隔離することは論外でした。そこでCurve Engineering社が、ここ英国の工場に金型を設置する作業を請け負うことになったのです。仕上がったばかりの金型を受け取ると、それをラインへ設置し、滞りなく部品の量産を開始することができました。この事例の核心となる要素は、信頼できるデータ転送を確実に行う、という点です。

 高い技術を有する金型メーカー、機械技術者、金型設計者に仕事を外注する1次サプライヤにとって、どの段階においても高精度が担保されるロバストなオペレーションを構築する上で、情報の伝達は重要な役割を担います。その点、Curve Engineering社は、高い評価をいただいています。当社が厚い信頼を得ているのは、お客様のプロセス効率化を徹底的に支援することで、再切削の回数を最短時間で最小限に抑制することの重要性を理解しているからです。Curve Engineering社は、品質に妥協することなく、業界随一の納期をお約束します。これを可能にしている原動力は、当社がプロセスのあらゆる段階に関与し、それぞれ適切な設計ツールを当社の経験則と併せて適用していることにあります。金型メーカーが現場で金型の調整作業をするとき、当社では同時にエンジニアリング部門をサポートします。たとえばトライアウト担当者がドロービードを調整する場合、その元に戻すことができない調整作業を行う前に、まずエンジニアリング担当者がシミュレーションを実行するのです。データ転送を確実に行うことが大前提となりますが、この点において、当社は企業としての信頼性を高めてきました。ありがたいことに、いまでは多忙な毎日を過ごしています。

 数年前まで、サーフェスのデータをお客様と共有する場合において、苦労話が尽きることはありませんでした。以前に利用していたCADパッケージでは、ある問題に苦慮していました。ネイティブの形式では問題なく作業できるのですが、データをCATIAに転送すると、データが適切に変換されないのです。データ変換の不具合によって、サーフェスの品質に問題が生じると、これまでの作業が水の泡となる危険性があります。ここでCurve Engineering社が、データの損失やデータ形式の変換不良を回避することに着目した点が、ビジネスの観点において大きな契機となったのです。たとえば、いまここで工程モデルを完成させ、成形工程を設計し、デジタルのスプリングバック見込み補正を完了したと仮定します。これからデータを別の金型設計パッケージに転送しなければなりません。データに履歴がなければ、サーフェスは完璧に近い状態です。0.001 mm程度の小さな隙間があったとしても、実際に加工する上で問題にはなりません。しかしソリッドで金型設計を作成しようとすると、頭の痛い問題が生じる可能性があるのです。

 Curve Engineering社が成功を収めた一番の理由を教えてください。どのように、これほどの急成長を遂げたのでしょうか。

 正直なところ、私たちの評判はトレードオフで得たものです。お客様からは、当社の仕事はブランクのサイズ見積もりや最適化の初期段階から非常に迅速で、しかも品質も非常に高いと評価をいただいています。これこそが鍵となります。質の高い仕事を続ける限り、お客様から次回も引き続きご依頼をいただけるのです。このようにして、非常に多くのお客様にご愛顧いただいています。Curve Engineering社では、可能なかぎり作業を突き詰め、ほぼ完璧なデジタル・マスターを作成します。大切なのは、お客様に満足していただくこと、そしてお客様のプロセスを効率化して再切削の回数を最小限に抑制することです。

 Curve Engineering社では、AutoForm製品に多額の投資を行っています。当社のホームページを見ていただければ、あらゆる案件にAutoFormを活用していることがお分かりになると思います。特筆すべき点は、AutoFormによって、プレス成形シミュレーションとCADの世界がシームレスにリンクされることです。両者の互換性が高いために、プロセスが効率化され、データの処理がとても容易になったと感じています。これもAutoForm-ProcessDesignerforCATIAとAutoForm-QuickLinkforCATIAの導入を決めた一因です。

 もちろん、AutoFormがあればCATIAを理解する必要はなくなる、とは言いません。しかし強調させていただきたいのは、AutoFormを活用することで、必要な作業にさらに集中して取り組むことができるという点です。AutoFormは薄板のプレス成形に特化したツールです。AutoForm-ProcessDesignerforCATIAは、CATIA環境に必要な作業に応じて一連のツールが組み込まれており、さらには金型設計やその後のエンジニアリング段階におけるデータ効率も担保されます。特にNCの事前作業に関するAutoForm-ProcessDesignerforCATIAの機能は素晴らしく、たとえば見込み補正の他にも、半径やベアリングの領域を緩和して良好なスポッティングを得ることができるため、非常に効率よく作業を進めることができます。

 ソフトウェアの習熟期間についても述べておく必要があると思います。AutoForm-ProcessDesignerforCATIAを使いこなすまで長時間をかけることなく、その効果を実感することができました。他のCADパッケージを導入していたら、長期間におよぶ習熟期間が深刻な問題となったはずです。AutoForm-ProcessDesignerforCATIAを使うことで、非常に短時間でドロー・モデルを作成できます。もしCATIAの使用経験がない社員がCATIAでドロー・モデルを作成しようとしたら、まさに今この瞬間にも、まだサーフェス作成機能の詳細について勉強の真っ最中だったことでしょう。幸いなことに、AutoForm-ProcessDesignerforCATIAの機能群と包括的なテンプレート・ガイドのおかげで、作業はすでに完了しています。

 2年前に3名で始めたこの仕事が、いまや繁忙期には17名にもなり、多岐にわたる分野で精力的に活動しています。英国では「ブラック・カントリー・ボーイズ」と呼ばれている私たちですが、それは全員がウェストミッドランド州出身で、この地域に特徴的な「なんでもやってのける」精神を継承しているからでしょう。Curve Engineering社では、金型の製作やトライアウト、製造現場などで経験を積み、その後、プレス成形シミュレーションやプロジェクト管理に進んだ人材を採用しています。つまりプロジェクトの担当者は、AutoFormをバーチャル・トライアウトのツールとして使いこなせるだけでなく、成形性やスプリングバック、さらには金型製造、曲げに対する強さや抵抗力、そして金型の寿命まで包括的に考慮できるスキルを持ち合わせているのです。しかし良好なダイフェース・モデルを作成する上で、高いスキルを有する担当者全員がCATIAを高度に使いこなせるとは限りません。そのためAutoForm-ProcessDesignerforCATIAを導入することで、全員がこのスキルを最大限に有効活用できるようになりました。Curve Engineering社の成功には、数多くの要因が存在しますが、とりわけ、新しいアイデアを躊躇なく取り入れ、与えられた仕事に妥協なく取り組み、素晴らしい成果を引き出すための経験を日々積み重ねているエンジニアたちによる貢献は計り知れません。しかし、どんなに秀でた職人でも、適切な道具がなければ仕事をすることができません。同様に、Curve Engineering社では、AutoFormのソフトウェア・ソリューションおよび技術サポートに支えられ、この継続的な成功を収めることができているのです。