計画策定とコスト見積もりの期間短縮を実現するための手段とは
ポルトガルを拠点に自動車業界向けのプレス金型の開発と製造を専門とする金型メーカー、EPALFER社では、2020年にAutoFormソフトウェアの拡充を決定しました。見積もりの精度向上およびリードタイムの短縮に対応するため、計画策定およびコスト見積もりの機能をさらに充実すべきだと判断したのです。今ではプロジェクトの最初にまずAutoFormを使用して成形工程の初期フィージビリティを評価し、わずか数分で初期コストの見積りを算出しています。
数年前の自動車業界には、先行きが不透明で新車開発が低迷する時期がありました。EPALFER社生産計画部門の責任者であるジョアン・シルバ氏は次のように語っています。「当社では今後生じうる問題に備える良い時期だと判断しました。エクセルを使用した見積もり計算には時間がかかり、また専門知識が豊富な見積もり担当者の業務過多による遅延など、改善すべき問題は山積していました。そのため特に繁忙期には、依頼された見積を時間内にすべて対応することができない状況が多く生じていました」
「当初掲げた目標は、手入力による作業を削減することで作業時間の短縮を図り、またCADから表計算ソフトウェアに情報を転記する際の人為的なミスを回避することでした」とシルバ氏は続けます。「CADベースで操作が容易なAutoFormインターフェースとフィーチャー検出機能は、見積もりプロセスの最初に活用するツールとして最適だと考えました。またAutoFormユーザーとして、このソフトウェアの工程計画機能については熟知していたので、AutoFormを活用すれば見積もり業務を改善できることには確信がありました」
AutoFormを活用すれば、工程計画の代替案を速やかに生成し、評価することができます
AutoFormの活用を通じて品質およびコスト効率の高い部品を製造できる工程コンセプトの代替案を迅速に作成し、どの工程を採用するか判断することができます。この工程計画の透明性と一貫性が担保されるため、意思決定プロセスに関わる各担当者は工程の意図を的確に把握することができ、それに基づく見積もりコストにも高い信頼を寄せています。ジョアン・シルバ氏は次のように説明しています。「従来の方法では見積もり1件につき1時間から数時間を要するため、1日に作成できる見積もりはわずか5~6件のみでした。今ではこのAutoFormソリューションを活用し、部品成形性の早期フィージビリティ検討や材料消費量の事前見積もりなど、一貫性のある信頼性の高い見積書をわずか30分で作成することができます。場合によっては、詳細な工程計画の策定、正確なコスト見積もり、生産代替案の評価などに時間を要することもありますが、それでもほぼすべての部品で1時間以内を実現しています。これによって、完成度の高い見積もりの本数を増やし、プロジェクトの指名を受ける機会を広げることができるのです」
EPALFER社の見積もり担当者は、順送金型とトランスファ金型の平均見積もりにおいて、±8%という妥当な範囲内でコストを見積もることができました。これは、自動車部門の中でも特に煩雑なプロセスにおいて常に良好な結果だと言えます。
複数プロジェクトの見積もりの偏差(%)例: トランスファ金型の見積もりコストと実際に生じたコスト
操作が容易な3DベースのAutoFormインターフェースを導入して以来、EPALFER社見積もり部門のワークフローはより効率化されています。コスト見積もりの原動力は工程計画の適切な定義であるため、プロセスの透明性と分かりやすさが担保されなければなりません。工程計画に精通したユーザーでも適切な工程定義を行うことができるよう、自動機能やウィザードが支援します。
AutoFormをプロジェクトの最初から活用するにはまずワークフローの微調整が必要でしたが、しかしその結果、プロセスをシームレスに統合させることに成功しました。初期計画から工程設計、最終的な最終検証に至るまで、1つのファイルが下流工程に転送されてゆくため、部門間の情報交換に誤りが生じたり、最初に見積もられた工程と最終的に設計された工程に不整合が生じたりする可能性が低くなります。
EPALFER社では改善が必要な分野を特定し、ソフトウェアのポテンシャルを引き出すことで、AutoFormソリューションの適用に成功しました。また標準を構築し、ソフトウェアの継続的な使用を通じて経験を積み重ねることで、自社のコスト構造に適合させてゆきました。現在ではAutoFormを活用して見積もりの精度向上や時間短縮の恩恵を受けているほか、AutoForm Formingインターフェースに統合されたワークフローを活用してエラーの削減や相互コミュニケーションの向上も実現しています。