自動車プレス成形業界のOEMおよび1次サプライヤー向けターンキーソリューションのご紹介
自動車業界では軽量設計、エネルギーの効率向上、生産合理化の追求が続く中で、従来の薄板プレス成形やアセンブリ工法で対応できる限界がますます顕著に表れています。本稿では、業界の革新企業である アンドリッツ・シューラー社が開発した新たな製造プロセスを紹介します。このプロセスにより、ダブルドアリングなどの大型ボディ部品を、より体系的かつ効率的に製造することが可能になります。
新たな手法
自動車業界では超高強度鋼(UHSS)のホットスタンピングは定評のある製造技術です。しかし従来は比較的小さな構造部品に採用し、それらを溶接して大型化するのが一般的でした。
新たな手法では、大型ボディ部品を単品プレス部品として製造することで、複数にわたるプレス工程やその後の組立工程が不要になり、従来のプロセスに大きな変革をもたらしました。
8つの部品を1つの部品へ集約:プロセスの概要
従来のダブルドアリングの製造では、最大8つの単品部品をプレス成形し、アセンブリを行います。複数の工程を用いることで、多大なエネルギー、設置スペース、そしてエンジニアリングの工数が消費されます。
アンドリッツ・シューラー社ではそれに代わる方策として、テーラード溶接ブランク(TWB)を単品プレス部品として加工して大型ボディ部品を製造する工法を提案しています。
この複数部品のアセンブリから単品部品の製造への転換は、次の技術的な三大柱によって実現できました。
テーラード溶接ブランク(TWB)
1枚の大型ブランクに複数の異なる板厚や材料特性を組み込む技術。
コンパクトな回転炉(CRF)
大型ブランク加熱時のスペースとエネルギー消費を大幅に削減。
統合型ターンキー生産ライン
レーザーブランキング、レーザ溶接、ホットスタンピング、自動化設備を含むアンドリッツ・シューラー社のワンストップソリューション。
主なメリット
アンドリッツ・シューラー社が提唱するプロセスを導入することで、次のメリットが得られます。
部品点数の削減
部品点数を最小限に抑え、工程全体の設計・製造・物流の合理化を図ります。
アセンブリ工程の排除
部品全体を1工程でプレス成形するため、組立ライン、治具、2次溶接、位置合わせ工程が不要になります。また小型部品を複数製造する代わりに大型部品を一体成形することで、品質向上、寸法精度向上、潜在的な不具合の削減が見込まれます。
省スペース・省エネルギー
アンドリッツ・シューラー社のプロセスは、従来のローラーハース炉や多層式炉と比較して、エネルギーと設置面積の両方を削減できます。コンパクトな回転炉は、セラミックローラーの汚染を防ぐために緩やかな加熱曲線を必要とするローラーハース炉とは異なり、熱損失とガス消費量を削減できます。
解消した問題
ローラーコンベア式炉の設置面積
ローラーコンベア式炉で大型ボディ部品は製造可能ですが、45mを超える炉長が必要です。コンパクトな回転炉では同等の結果を15mで実現できます。
保守および運用負荷
ローラーコンベア式炉のセラミックローラーや炉内部品には多くの保守作業が必要です。
温度のばらつき
多層式炉では、炉内への加熱ムラやタワー間の搬送速度の差により、ブランク温度にばらつきが生じがちです。この課題は、コンパクトな回転炉を採用することで解消されます。
生産プロセスの詳細
アンドリッツ・シューラー社技術部門へのインタビューにより、この製造プロセスの仕組みと、なぜこれがホワイトボディ製造を変革する技術なのかが明らかになりました。
プロセス全体の流れ
プレス成形シミュレーションと工程開発
このプロセスは、お客様の部品に対するプレス成形の工法を、シミュレーション主導で開発することから始まります。これにより技術部門では、ブランクのサイズ、形状、材料構成を正確に定義できます。
ブランキング工程
お客様は機械プレスまたはレーザーブランキングのいずれかを選択できます。レーザーブランキングは高い精度と柔軟性を備えているため、テーラード溶接ブランクに特に適しています。
レーザ溶接
ブランクの準備が整ったら、高精度のレーザー溶接でそれらを接合します。こうして作られる大型のブランクは、必要に応じてさまざまな板厚や強度を併せ持つことができます。
アンドリッツ・スーテック社はコーティング付きボロン鋼向け専用レーザ溶接ラインを提供していて、これにはアブレーション工程も含まれます。品質保証の観点から、溶接前にコーティングを局所的に削除する必要があります。
金型製作支援
アンドリッツ・シューラー社はホットスタンピング工程および炉のレイアウトの両方に適合する金型設計・調達を支援しています。
システム設置と生産立上げ
最後のステップは、炉、プレス機、自動化設備、トリミング装置などを含む生産ライン全体の構築です。こうして、シューラー社はプロセス設計から現場での生産立ち上げに至るまで、包括的なソリューションを提供しています。
他方式との比較
ローラーコンベア式炉
これらの炉は頻繁なメンテナンスを必要とし、ローラーの劣化が生じやすいため、稼働時間や生産品質に影響があります。コンパクトな回転炉には、こうした欠点はありません。
多層式炉
層式炉では、各タワー間の経路長の違いや、チャンバーからプレスへの搬送タイミングのずれにより、ブランク温度にばらつきが生じます。大型部品の製造には適していますが、厳しい公差管理が求められるダブルドアリングなどの重要な構造部品には推奨されません。
実運用の観点では、チャンバーが21個あれば、21通りの異なる工程が存在すると言えるほど、顕著なばらつきが生じます。構造が単純な部品であれば問題ありませんが、厳しい公差管理が求められるダブルドアリングなどの部品には推奨されません。
削減効果
具体的な削減額は、生産数、ビジネスモデル(新規構築か既存改修か)、および既存のインフラによって異なります。ただし、一般的な目安としては以下のものが挙げられます。
• コンパクトな回転炉により、設置面積を66%削減
• 加熱時間の短縮と熱効率の向上により、年間1200 MWhのエネルギーを節約
さらに、以下の項目の削減によってさらなるコスト削減が見込まれます。
• 金型および治具への投資
• 設計変更への対応
• 組立設備への投資および運用
• プレス成形後の品質補正
すべてのメーカーにとってメリットがあるものの、この新たなプロセスは、新規工場を建設するEVメーカーに特に適しています。このプロセスは現在の需要を満たしつつ、将来の拡張性にも対応できるよう設計されています。
OEMが導入をためらう理由、そして再考すべき理由
従来、OEM各社は、設備投資、生産能力、技術的な複雑さへの懸念から、大型ボディ部品の単品生産を回避してきました。しかしアンドリッツ・シューラー社は、工程設計から生産立ち上げに至るまで大部分の業務を請け負うことでこうした障壁を取り除き、特に新規工場建設の場面において、多くのメーカーにとって事業として成立する条件を整えています。
結論:ホットスタンピングによる一体成形のビジネス上のメリット
自動車のホワイトボディ(BiW)製造技術の進化には、複数の小さなプレス部品を組み立てる考え方から、構造部材全体を統合した単一工程で製造する方式への転換が求められています。アンドリッツ・シューラー社が開発したソリューションは、このビジョンを実現します。テーラード溶接ブランクやコンパクトな回転炉の活用、そしてシミュレーションを活用した開発を通じて、メーカーはダブルドアリングなどの重要コンポーネントを、より少ない工程数、高い寸法精度、低い運用コストで製造することが可能になります。
この工程は、単なる段階的な改善にとどまらず、大型部品の製造において画期的な技術です。生産革新の次なる一歩を検討している新規OEMや1次サプライヤにとって、この新しい方式は、特に持続可能性、柔軟性、効率性が不可欠とされるグリーンフィールドのプロジェクトや電気自動車のプラットフォームにおいて、大きなメリットをもたらします。
アンドリッツ・シューラー社は機械設備だけでなく、現代の自動車生産に求められるスピード、精度、効率を兼ね備えた統合的な製造戦略を提供しています。












