中国、先鋒金型社: AutoFormサプライヤ認定(ASQ)を活用した金型変形の計算

自動車外板のプレス成形では、成形荷重が数百トンに達する場合があり、それにより金型に大きな弾性たわみが生じ、ダイフェース間に想定外のクリアランスが発生します。従来、金型メーカーは、このクリアランスを手作業により調整してきました。しかし、正確な予測と補正を行うことで、この工数のかかるダイスポッティング作業を最小限に抑えることができます。最近リリースされたAutoForm ETDモジュールは、こうした変革を可能にする使いやすい機能を備えています。ただし、そのためにはまず、工場でプレスの弾性測定を実施する必要があります。

作業場にて手作業で研磨を行うスポッティング作業

湖南大学機械・車両工学部の劉迪輝博士の研究チームは、プレス金型の弾性たわみに関する豊富な研究実績を有しています。同チームはオートフォームチャイナと協力し、国内有数の金型メーカーである湖北十堰先鋒模具股份有限公司において、プレスの弾性測定を実施しました。

湖北十堰先鋒模具股份有限公司は1995年に設立され、自動車外板用プレス金型の研究・開発・製造を専門としています。同社は、自動車用プレス金型を独自に設計・製造する、この業界における中国最大級の民間企業です。

近年、先鋒社ではオートフォーム社と提携し、生産効率と製品品質の包括的な向上を目的としたAutoFormサプライヤ認定(ASQ)プロジェクトを開始しました。この取り組みは、工程開発能力と製造標準全体の向上を目指す重要な共同プロジェクトです。

このプロジェクトの一環として、先鋒社では初めてプレス弾性の測定を実施しました。同社CEO高飛氏は、プレス試験やETDモジュールの活用を含むASQプロジェクトを重要なイノベーションの機会と捉えています。これにより、生産効率向上、製造プロセスの合理化、新たな業界ベンチマークの確立が実現し、企業の持続的成長と業界発展につながると考えています。

問題点:ダイスポッティング

ダイスポッティングは非常に複雑で、労力、時間、コストのかかる工程であり、主に以下の課題があります。

高コスト:特に高い品質要求がある場合、製造や品質安定化のコストが増大します。
• 長い開発サイクル:製造のリードタイムが長期化すると、市場投入時期に影響します。
製品の品質問題:金型製作が複雑であると、特に量産時に製品の品質が不安定になる場合があります。
• 担当者の経験値への依存:担当者の経験や技能への依存度が高く、コストや納期へ影響します。

既存ソリューションの課題

ダイスポッティング作業を最小限に抑えるには、NC切削データを用いて金型の見込み補正を行う必要があります。しかしそれにはまず金型のたわみ量を正確に予測しなければなりません。

既存の予測手法はいくつかありますが、効率的かつ体系的に確立された方法はまだありません。過去プロジェクトのたわみデータを類似部品に適用する場合もありますが、実際のたわみは部品形状、金型構造、プレス弾性、成形荷重などに大きく左右されます。そのため、過去の経験に基づくデータだけでは信頼性に限界があります。

また、一部の金型メーカーは研究機関と連携し、汎用有限要素解析ソフトウェアで金型のたわみを計算しています。しかし設定が複雑で専門的なスキルも求められるため、一般的な工程設計者が扱うには難しい面があります。
さらに、従来のフルモデル有限要素解析でプレスの弾性挙動を予測することは非常に複雑であり、プレス構造への深い理解、3Dプレスデータの利用、適切な拘束条件を設定する専門知識が求められます。

AutoFormを活用した解決策

AutoFormでは、ソフトウェアに組み込まれた有限要素解析の簡易的な代替モデルを用いて、これらの課題に対応します。このモデルは工場試験で得られた測定結果の一部のみを必要とします。内蔵の代替モデルは、その後の金型たわみ計算に合わせて自動的に更新されます。

オートフォーム社、先鋒社、および劉博士の研究チームは、以下の流れで本課題に取り組みました。

1. 弾性変形の測定:先鋒工場のトライアウトプレスについて、複数の加圧条件で弾性変形を測定。オートフォームチャイナ社の技術支援のもと、7台のプレスで試験を実施。

2. 金型弾性変形の計算:測定したトライアルプレスの弾性変形のデータを用いて、ソフトウェア上で金型弾性変形を計算。

3. 弾性変形の見込み補正:ソフトウェアで予測した金型たわみをもとに金型見込み補正を実施し、そのデータをNC切削に活用。

AutoFormプレス弾性モデルジェネレータ

AutoFormを用いたたわみ計算の結果

このソリューションのメリット

• トライアウト期間の短縮:金型1台あたり最大1か月短縮でき、生産ライン立ち上げの迅速化と不稼働期間の削減が可能

• コスト削減:トライアウト期間の短縮により、人件費、トライアウトでのブランク使用量、エネルギー消費を削減し、最大15%のコスト削減が期待できる

結論
AutoFormは、プレス弾性変形に関する初の試験標準を確立しました。ETDモジュールは金型の変形を高精度に計算し、高品質な切削データを生成することで、トライアウトでのトライ&エラーを最小限に抑え、開発サイクルの短縮に貢献します。これにより、生産効率の向上、コスト削減、製品品質の改善を実現し、金型メーカーの市場競争力強化につながります。